重要なお知らせエリアを非表示

2022/01/17 12:41

<雀>を捕まえたい。

ある日突然、そんな感情に取りつかれてしまったボク。

寝ても覚めても、雀、雀。

「捕まえたい」っていう狩猟本能が脳みそを支配してくる。

 

早速、漫画本で学んだ「ザルかぶせ生け捕り作戦」を開始!

家の米びつから拝借してきた米を、パラパラと地面に撒く。

 

その上に丸いザルを斜めにして棒きれで突っ張る。そしてっ!

その棒に繋いだヒモを導火線のように走らせる。

ボクはそのヒモをそっと持ち、物陰に身を潜める。

 

そしてそして、、、息を殺し、ひたすら待つ。待つ。待つ。

心の全部を、ヒモを持つ手の感覚に集中させる。。。

 

だが、しか~し。。。。。。

 

作戦がバレたのか、、、いくら待てども雀は来ない。。。


ならば、作戦変更!

 

家に帰り、再び米びつから米を拝借し、

これまた親父の晩酌用の酒を拝借し、

盗んだ、いや拝借した米を一晩その酒に浸ける。

 

これぞ<泥酔フラフラ生け捕り作戦>

 

ほど良く眠れなかった翌日、

戸惑うほどの胸の高まりを感じながら、

近所の米倉庫の前に、お酒に漬け込んだ米をパラパラと撒く。

即座にボクは物陰に隠れ、昨日のように息を潜める。

 

とっ、、、来た来た!

来ました、来ましたよ~たくさん飛んできましたよ!

 

食べたっ!あっ、また食べた!もうボクは興奮のルツボ!

『そろそろフラフラに酔っぱらうに違いない。。。』

 

だが、しか~し。。。

雀たちは、その素振りすら見せない。。。

 

『もしや、晩酌をやっている雀たちか』

顔を赤らめる者もなければ、ゲーッするものもいない。

 

くそーっ。炎天下で、こっちがフラフラ。またもや失敗。

ならば、作戦変更!

こうなりゃもう、武力行使!

 

名付けよう!<雀バタバタゴム銃作戦>

 

ゴム銃。それは自転車のチューブをヒモのように切り裂き、

又になった木の枝にタコ紐でくくりつけた武器。

 

石ころを弾として、雀に撃ち当てて捕まえる作戦。

雀を負傷させることになる。。。

やや気が重たいか?というと、そんな気持ちは全く無し。

ここがボクの、人間の怖いところ。

 

「雀を殺してしまうかも」の感情など寄せ付けない。

完全に麻痺してくる。

 

いざっ!!!

バシッバシッ~~~見事命中!

 

現実はそう甘くなかった。。。

数打ちゃ当たると思っていたが、一発だって当たりゃあしない。

それどころか、あんなにたくさん居たスズメ達が、

ぜーんぶ居なくなっちまった。。。

 

しーん。。。


祭りの後の虚しさ。

次第に夢から覚めていくボク。。。

残酷むき出し時代の一コマ。これにて。